祖父は、高齢になり、身の回りの世話も大変になってきたので、
毎日デイサービスに通っていました。
ある年の誕生日に、デイサービスの施設から似顔絵をプレゼント
されました。
毎年、寄せ書きや写真などのプレゼントをいただいていましたが、
似顔絵は初めてでした。
その似顔絵は、プロが描いたようなすばらしいものでした。
きっと、施設の方の中で、似顔絵が得意な方が、新しく
いらしたのかもしれません。
写真のL版の大きさで、早速、写真立てにいれて飾りました。
にっこりやさしく笑う表情に、デイサービスの施設での祖父の
心持ちが伝わり、施設の方によくしてもらっているのだろうと
感謝したくなりました。
と同時に、その似顔絵の中の祖父の柔和な表情は、家族にも
癒しを与えてくれました。
そんな祖父が、病に倒れ、いつしかデイサービスにも
行けなくなりました。
そして、天寿を全うし亡くなりました。
でも、今も、あの似顔絵の祖父が、いつもの柔和な笑顔で
私たちを見守ってくれています。